咲いていること自体が誇らしげで


神様の愛を一身に受けているみたいで


まるで大輪の花のような、君の笑顔












14 
は躊躇わず散ってしまった












「ねえ、先輩」

「んー?」




タバコの煙が揺れる

放課後の屋上






「すごーく高いところから飛び降りたらさ、それって落ちてるんだと思う?

 それとも飛んでるんだと思う?」




「そらお前、落ちてるだろ間違いなく」


「絶対?」


「絶対」





ふーん。

つまらなさそうに口をとがらせて、風に流れる長い髪を押さえた。













「先輩。タバコっておいしい? 進路決まったの?」



「別においしくはない。進路は決まってるけど、進めるかどうかはまた別問題」






そっか。


夕焼けの中で、彼女の白い手が、黒い髪を押さえてて、

自分がなぜだか奇跡の瞬間にいるような気がして、時間はどうして止まらないんだろうと悔しく思う。













「先輩はもてるのに、どうして誰とも付き合わないの?」


「お前、今日は質問ばっかだな」


「答えてよ」


「さぁな」


「もお!」














サッカー部の練習試合。

陸上部の短距離。

野球部のランニング。




ふたりの沈黙

























「先輩。あたし先輩のこと好きだけど、それは恋じゃないんだ」



彼女が金網に寄りかかる。

軋む音。



「先輩とデートしたいとか、先輩とキスしたいとか思わないけど、ちからいっぱい抱きしめたいと思う。

 そんな感じなの。わかる?」









わかる。

痛いほど、わかる。









きっとどんな友達よりも、親や兄弟よりも、俺たちは似ているんだ。










「奇遇だな。俺もお前と同じ気持ちだよ」


「やっぱり。そうじゃないかと思ってた。はい、先輩」






両手を広げる彼女。

俺の肩口ほどまでしかない彼女が、背中に腕をまわして、ぽんぽんとなぐさめるように手を動かした。









痛いところを舐めあってるだけのふたりは、これからも恋に変わることはない。きっと。
















「先輩」





くぐもった声。

シャツの胸があたたかい。
























「先輩は、ここから飛び降りようと思ったことがあるね?」























「…あるな」






「やっぱりね。あたしもそうだからすぐにわかった」




















あぁ、日が沈む。

今日が終わる。






































「じゃあ先輩、あたしと一緒に飛び降りよう」

































「…いいよ」




















「冗談だよ」


ゆっくりと、俺の腕の中から出て行く彼女。

小さく笑っているようで、泣いているようでもあった。

















「あたし、もう行く。先輩飛び降りたりしちゃだめだよ」


「わかってるよ」








その時の彼女はまるで、この世に祝福されたように

世界に一輪しかない花のように

最後の夕焼けの中で

輝くような笑顔を見せた
















まるで、枯れる直前の大きな花みたいな

































そして彼女はそのまま消えた。


学校から、家から、俺の前から。














目撃談によれば

どっかのビルから飛び降りた彼女は、


ゆっくりゆっくり、スローモーションのように落ちてきて







まるで翼があるようだった、らしい。


















あっけなく散った綺麗な花は、今も俺の痛みの中で、笑っている。








終わり。


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UP 2004/10/26

ありきたりなようで意味がわからない感じかもしれない…
でもこういうのが書いてみたかった。

つか、改行多すぎか…?すんません。

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