I differ with the books
- - - - - - -

何も書けないときは、本屋に行くことにしている。


はじめて行った駅前の本屋は、ずいぶんと近代的だった。

ほしい本はコンピューターで検索できるし、監視カメラから防犯センサーまである。
私は、ほとんど期待もせずに文芸コーナーに向かった。

きっちりと並べられた本はどこか無機質な印象さえ受ける。
それが本なのか、と思うくらいに。
サンプルを並べたオブジェのようにも見える。
一冊一冊の本で構成されているのではなく、本棚で一つの大きな本を作っているだけのような。

`本棚の目次’を私は左から順番に見ていく。

フォント、背表紙の色合いで少しずつ見えてくる。
ミステリー・ホラーはすぐわかる。
恋愛小説、歴史小説もすぐにわかる。

私は、背表紙で遊ぶのだ。

『蹴りたい背中』
あぁ、色合いからして青春っぽい。なんだろう蹴りたいって、どんなだろう。
どんな話なんだろうな。

『11分間』
何?11分間って。11分間で何ができるだろうな。
1km走るのってどのくらいだっけ。

私は、頭の中で内容について、いくつもの想像をめぐらしていく。
一通り想像してから、ページをめくってみる。

物語っていうのは、人との想像力のズレであると思う。

私の想像と、作者の書いたものが一致することはほとんどない。
まぁ、簡単に想像されたところでそんな本どうなんだ、とは思うが。

そんな時、書きたいと強く思う。
私だったら、こう書くなぁ。書きたいな。


新人賞の締め切りはもうすぐだ。


『天国の本屋』

棚にあるその本に手を伸ばしたとき、ちょうど店員の女の子がやってきた。
表に出されている本をじっくりとチェックしていく。

天国の本屋にも、残酷なホラーはあるんだろうか。

高いところの本を入れるのに少し背伸びして、そのついでに目線を上げる彼女。
私は彼女の視線の先を追う。


私の想像と、彼らの実際の感情は一致してるんだろうか。




 book*mark

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送