act.13
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「なにこれ?」
僕が落とした紙を理菜が、拾いあげた。
「あっ!」
「うわー、楽譜♪」
それを楽しげに見る理菜。
「これって、新曲?」
「うーん・・かもしれない。」
「なに、その自信のない返事。」
「ずいぶんえらそうだなー!」
僕と理菜の会話は変化しつづけた。
きっと、もうウソじゃない。
‘友達’っていう言葉は。
「聴いてみたいな・・」
彼女がふわりと笑ってつぶやいた。
「ね!歌ってよ!」
妹が目を光らせる。
「すぐ歌えるよーなもんじゃないだろ」
「どうして?」
「アカペラで歌えって?」
「はずかしい?」
「そうじゃないけど・・。」
「仕方ないなー♪」
そう言いながらニヤリ、と笑う。
「おねーちゃん、弾いて!」
「え?!」
僕と彼女が同時に驚く。
「だって、コードあるもん。
伴奏、どーにかなるでしょ?」
僕は思わず理菜を呼び寄せた。
「無茶言うなって、いきなり弾けるわけ・・」
「ばかねー。」
「っは?」
「ピアノなんて技なのよ?覚えられなくなる前に覚えたのよ。
おねーちゃんくらいのレベルだと、見たことない曲だって一目で弾けるわよ。」
僕ににっこり笑いかける。
「さぁ!弾いて!」
彼女がピアノを弾きはじめる。
僕は歌う。
目の前にいる、君を想って。
恋の歌。
そう言い切るとひどく照れくさいけれど。
それは神様が僕に与えてくれた魔法。
僕は、想いを歌に託すことができる。
その想いを、僕は僕の声で響かせよう。
まだ完全に感性とはいえない僕の曲は、ワンコーラスで幕を閉じた。
君は振り返って言った。
「すてきな曲ですね。
なんだか、すごく幸せな気分になります。」
「ありがとう。」
ずっと歌っていよう。
その笑顔が消えないように。
2002/04/11
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