act.14
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「あれって、自分で詞を書いたんでしょ?」

家に向かう途中の道で、相変わらず、理菜は唐突に話を切り出す。

「どうして?」
「明らかに、おねーちゃんへの曲。」

じぃっと、僕を見る。
僕は思わず苦笑する。

「・・正解。」
「やっぱりー。」

またあのいたっずらっぽい笑顔が見える。

「でも、届かないんだね?」
「ん?」
「二人とも、同じ‘好き’なのに。」

なんかかなしい、理菜は小声でつぶやいた。
僕は、何も言えなかった。

「あー!でもずるいね。」
「ずるい?」
「おねーちゃんにとって、あなたは『永遠に好きな人』なんだよ?
 あの日からの、最後の恋の相手は、ずっと。」

沈黙が流れる。
そんなこと、考えてもみなかった。

「あー、なんかかっこいい事言ってたらついちゃったよ〜」
理菜が笑う。
そして、元気に「おねーちゃんただいまー!」と叫ぶ。

「・・・?!」
彼女はいつも通りに驚いた顔をする。
「友達なの。」
いつものように妹がいう。

「はじめまして。」
「はじめまして。」

いつもの“あいさつ”

「いつも、手紙ありがとう。」
「読んでくれてるんですか?うれしいです!」
またあの笑顔でふわり、と笑う。
「なかなか返事が書けなくて・・・。」
「読んでいただけるだけでうれしいんです。」

僕はまっすぐに彼女を見る。

「こんなこといっても信じてもらえないかもしれないけど・・」
「なんですか?」

深呼吸をひとつ。

「好きになりました。手紙を読んでいたら、君のことを。」

彼女も、そして妹の理菜も驚いていた。

「信じてもらえないかもしれないけれど、本当です。」

彼女は目を少し濡らして微笑んだ。

「私も、大好きです。」

僕は幸せだった。
それが、明日には消えてしまう現実でも。
それでも、僕の中に刻んでゆける。
愛おしい思い出として。


2002/04/11

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